ダート・ウチダ・ゲストハウス
昨日はこのゲストハウスの“おまかせ朝ごはん”メニューをお伝えしたので今日はこのビルジングのことをお話しまひょ。ワシの叔父貴、内田達男はかれこれ20年以上前からココ、ダバオの日系人会などの支援を個人的に続けている。彼は実は“ダバオ・ボーン”と呼ばれる、正真正銘ダバオ生まれ。戦前から盛んに行われた海外移住地として木材・マニラ麻で有名だったダバオの移住者のひとりを父に持ち、戦争で激戦地になるまでダバオにいたらしい。叔父にしてみればダバオは第2の故郷、「自分が出来る事をしているだけ・・」と言う叔父にはいつも頭が下がる。そんな叔父が“これが最後の夢”とずっと野球を続てきた孫と組んでダバオでリトルリーグを作るプロジェクトを始めた。そのための基地がこのビルなのだ。孫のユウスケ君が野球仲間を連れてきても大丈夫な様にと2階には6部屋のゲストルーム。それだけじゃなくナンカシラ活動に協力して下さる方たちに宿泊して頂、頂戴する宿泊費はそのままビルの維持費、奨学生の学費、ユウスケ君のプロジェクト費用に使わせて頂く。ソンナ構想からビルの建設が計画され、現地にいるワシは叔父貴の片腕として建築全般の建て主側の現場監督を引き受けたのだ。尊敬する叔父貴の何かお手伝いが出きれば本望・・・・・そもそもワシはブログでも紹介している畑澤社長のもとで20年、装飾大工の仕事をさせて頂いてのだが、それこそ何でもやらせて頂いたのでソコソコ経験もつませて頂き「この規模の建物だったら、楽勝だ~っ!」と思ったのだ。実際、プロとしてやって来たワシには“ニホン”でだったらチョロイ!・・・・ここがミソだった!ここはフィリピン・・・。ニホンと同じようには“マッタク!!”行かなかった。せっかくダバオにきたのに“ニホンと同じイライラ”で半年過ごした。実際に全てを、打ち合わせから確認から、自分自身でやって見なければワカラナイはずだ。「こっちの建築は簡単ですよね~。」な~んて云ってた知ったかぶりのタワケ者もいたが、事実は小説よりなんとやら・・で、その建物は今、雨漏りやらナンヤラで大変な事になってる。なんか、話がそれてネガティブになりそうなので、元に戻そう。
建築やは約束どおり図面を書いてこない。仕事が遅れる。人工がかさむ。追加費用の話になる。やっと書いてきた図面は使い物にならない・・。結局ワシが殆んどの図面を引いた。ワシとしてはクヲリティも経費も叔父貴のために守らなければならない。いやでもワシが書かなければ、後で問題が出てくる物になってしまうし工期も遅れる。決断してコンパクト・ドラフターを買った。この図面は防犯ようのグリル。建築やの持ってきたデザインはひどいものばかり・・ワシがデザインした。
実際の窓と防虫スクリーンと組み合わさるとこんな風になる。エレガントに仕上がったと思う。世界でひとつのオリジナル・デザイン。
窓の大きさによってアールの大きさや鉄材の太さを指定したが、こっちの職人はそこまで図面が読めなかっただ!
キャッチ・ボールが出来る位の広さで柱を立てるな・・との叔父貴のオーダーで作ったホール。天井のデザインも苦労した。むだな建築費を抑えるため高さをおさえた設計にしたので2階部のドレーン配管との兼ね合いでパズルワーク。何とかおさまりドレーン勾配も確保。たとえプロでもこちらの人には、この辺の感覚も希薄だ。
きっちり、寸法入れてても、簡単なパースを添えてあげないと分かって貰えない。後で分かったのだが、現場の殆んどの人間は図面が読めなかった。
この玄関は絵を描いて説明したのだが分かって貰えず(言葉の問題ではなく図面を頭の中で3次元理解する概念の問題)ワシ自らスミ打ちした。
しかし、この小さなシャンデリアを取り付けた職人だけは“ツーといえばカー”の日本的職人だった。他にもこのタイル工事をした職人の一人でオナベ(こちらではトムボーイと言う)がイイ腕をしていて、真面目な仕事をしていた。ワシが家を建てるときはカナラズ声を掛けるつもりだ。
床材の仕様書。こんなんはふつー建築やが持ってくるのだが、ワシらが作った!
先行きも考え、なるべく少人数で切り盛りできるような導線で設計したキッチン・食堂。
早く誰かに引き継いで貰うためにとメルスは今客室のセッティング・マニュアルも作り始めてる。その為の写真の中から
やはり叔父のオーダーで各部屋に取り付けられたバスタブ。ワシは個人的にバスタブにつかるのは日本に行った時ぐらいだが・・・。ちなみに若い人はほとんど使わない。でもお年寄りの方がたにはいい塩梅らしい。
まあ、こんな具合なのだ。日々メンテナンスはして行かなければならないモノの何とかそこそこのモノが出来たと自負してる。叔父貴や、これからココをどんどん活用して行くユウスケ君にも迷惑をかけずに済んで一安心。しかし建物があってもソフトが出来なければ同じこと。今メルスとワシとで頑張ってソフト作りをしている。後半年がめど。頑張ります。